すっぴん代議士とフェチ男たち#06~すれ違う想い~
タカは席を立ち、伝票をもってレジへと移動する。
私はそれをなんとなく目で追っている。
会計が終わり出口に向かって歩き出したところ、店のドアが開いた。
カランカランと音がした後、息を切らしたジョーが店内に入ってくる。
そして私の姿を見つけ、少しホッとした表情で近づいてくる。
タカはその後ろから、先程私にやったように人差し指を立て、その手を覆うように手を添えると、ジョーの背中へ狙いを定めるように構えた。
そして、クチが『バーン』と動き、構えた人差し指ごと手を上げた。
私は青ざめる。
タカの目は本気だった。
人を殺すのをなんとも思わない、冷たい目だった。
タカはそのまま立てた人差し指指を唇の前に立てる。
ナイショだよ、そう目が言っている。
私の青ざめた顔と視線に気づき、ジョーが後ろを振り返る。
でも、もうタカはいなかった。
私は手をギュッと握る。
握った手の中には、先程タカから渡されたイヤーカフがあった。
『これを肌身離さずつけなさい。一回付けたら、その後外すと爆発しますからね。それと、つけない場合も爆発しますから、この後すぐつけるんですよ?いいですね?』
発信機かなにかだろうか。
しかし、私につけないという選択肢はない。
やむを得ず、イヤーカフを耳に付け、髪で隠した。
「ゆう子。無事か?」
そう言って私の所にきたジョーは、テーブルの上に私のとは別に飲み物が置いてあることに気づく。
「誰か、一緒だったのか?」
その席には座らず私を奥に詰めさせ、私が座っていた席にジョーは座った。
テーブルに肘をつき、私を覗き込むように、追い詰める。
「やめて、そんな尋問みたいな聞き方。」
でも、ジョーは引かない。そうよね。本職ですものね。
「ちょっとした、知り合い。ばったり公園で会って。」
ジョーは私をジッと見た後、ふう、といってため息をつき、椅子へともたれかかった。
「わかった。そういうことにしてやるよ。」
ジョー。ごめん。
ジョーは体勢を元に戻し、真顔で私を見つめながら言う。
「その代わり、何かあったらすぐに言え。いつでも駆けつけるから。」
私はニコッとわらう。
ジョー。ありがとう。
でも、私は先日知ってしまった。
カラダをはって護ってもらうということの怖さ。
今までSPという仕事の過酷さは知っていたつもりだったけど、本当にそれは『つもり』だった。
盾になるということの意味。
失うものの大きさ。
政治家だから護られる?私たちにそんな価値があるの?命の重さは同じなのに。
それなのにあなたは私の盾になり、いくつもの銃弾をその身に浴びた。浴びながらも私を護ってくれた。
あなたが私を護りたいと思うのと同じぐらい、私もあなたを護りたい。
「私、そろそろ行かないと。ジョー、ごめんね。またね。」
そう言って立ち上がる私の腕をジョーがつかむ。
「今日、家に行ってもいいか?」
そう言って立ち上がりかけている私を見上げる。
「今日は、夜から会合があるから…。何時になるかわからない…」
ジョーが私をじっと見つめる。
私はジョーの目を直視することができず、思わず顔をそむける。
「・・・わかった。じゃあ、気をつけてな。」
最後の言葉にチカラを込めているのがわかった。
「ええ。また連絡するわね。」
そう言ってその場を去った。
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