お嬢様の淫事#05~一筋の涙~
その日、帰宅した麗香の異変に気がついたのは、高見沢だった。
「麗香お嬢様?お肌の調子がいつになくよろしゅうございますが、何かいい事がございましたか?」
「え?そう?ありがとう。特に何も無かったわ。」
高見沢は麗香の目をじっと見た。
なんでも見透かしそうな、そんな目だった。
「じゃあ、部屋に戻るわね。」
麗香はその場を離れようとする。
「麗香様、お召し物に白いシミが」
「えっ」
麗香は反射的に腰に手をあて、脚を見た。
「お嬢様。なぜ脚についていると思われたのですか?」
---しまった。
「お相手は涼介様ですか?」
「・・・」
「お嬢様。」
高見沢が少しだけ語尾を強める。
「あなたには関係ないでしょう?放っておいてちょうだいっ」
麗香はそういうと勢いよく歩き出そうとした。
しかしその刹那、高見沢に手首を掴まれ引き戻された。
「手を離しなさい。高見沢。」
「・・・」
「高見沢。」
高見沢はうつむき、手を離した。
麗香からその表情を伺い知ることはできなかった。
「失礼…いたしました…。お嬢様…」
麗香に向かって頭をさげた高見沢の手は、硬く握られ小刻みに震えていた。
麗香が見えなくなると、高見沢は携帯をとりだした。
「麗香お嬢様にちょっかいを出している男がいる。至急割り出して手を引かせろ。あぁ、どんな手を使っても構わない。」
電話をきると、麗香が消えていった方向をずっと見ていた。
翌日、谷田部はとある海辺の病院にいた。
花を持ち、個室を訪ねる。
コンコン
「入るよ。」
そういうとベッドに座って窓の外を見ている人物のところへまっすぐすすみ、花束を渡して隣に座った。
「どう、調子は?姉さん。」
相手はまったく反応せず、窓の外をみたままだった。
「・・・姉さん。返事してくれよっ。」
谷田部は姉--美也子の腕を強く掴み、言葉を吐き出す。
美也子の目が揺れる。
「・・・すけ?りょーすけ?」
「姉さん・・・」
「りょーすけっ。あいにきてくれたの?」
美也子は谷田部に唇をぶつけるようにカラダを投げ出してキスをする。
その勢いを支えきれず、谷田部はベッドに押し倒された形になった。
美也子は逆を向いて馬乗りになり、谷田部の股間を弄る。
「やめ・・・てくれ・・・っ。姉さんっ。んっ。俺は・・・アイツじゃないっ。」
美也子は谷田部の肉棒を取り出すと、クチに含み始めた。
「りょーすけ。すき。りょーすけのせーえき、ちょーだい。」
か細いカラダのどこにこんな力があるのか。
引き剥がそうにも力が入らない。びくともしない。
「姉さんっ・・・。やめてくれよ・・・。畜生・・・・。ちく・・・しょう・・・」
谷田部は腕を目の上で交差させた。
その下には光るものがあった。
美也子は無理やり放出させた精液を飲み干すと、ふらふらと立ち上がった。
「ちがう。りょーすけじゃない・・・。りょーすけ、どこ??」
「姉さん!」
「りょーすけのがほしいのっ。りょーすけっ。りょーーすけっっ」
谷田部は歯を食いしばりながら、こぶしを美也子の腹にあてた。
美也子はくの字になって崩れ落ちた。
谷田部は美也子をベッドに寝かせると、担当医のもとを訪れた。
病院の近くの道路に1台のタクシーがとまった。
そこから降りてきたのは麗香だった。
麗香は日が傾きつつある浜辺に続く階段を下りると、ぽつんとすわっている谷田部の横に腰を下ろした。
谷田部は麗香の方は向かず、沈みつつある太陽をずっとみていた。
麗香も何も言わずただ横に座って、寄り添うように谷田部にカラダをまかせていた。
太陽も沈み、あたりに夜のとばりが下りてくるころ、谷田部が重い口を開き始めた。
「来てもらえるなんて思ってませんでした...。」
麗香は黙っている。
「俺の話を聞いてもらえますか?」
麗香はだまってうなずいた。
「俺には姉がいます。両親はすでに亡くなっていて、俺に残された唯一の家族です。その姉が3年ぐらい前からこの病院に入院しています。心が壊れてしまって。」
麗香は谷田部の手をとると、自分の太ももの上にのせ、その上から自分の手を添えた。
「心が壊れてしまった原因はわかりません。
医者によると、なにか特殊な薬で中毒のような状態になってしまっているらしいんですが、その薬が特定できずにいます。
特定できなければ当然治療もできません。
以前つきあっていた男が、姉を薬漬けにしたんです。そして捨てたんです。」
谷田部の手がぎゅっとこぶしを握り、小刻みに震えていた。
麗香はそのこぶしを包み込むように握った。
「心が壊れた姉は、その男を刺してしまいました。幸いにも傷は浅く、向こうにも負い目があったのか警察沙汰にはなりませんでした。
いや、警察沙汰にしようと思っても、もみ消されたと思います。」
こぶしを包み込む麗香の手に力が入る。
「その男の名は、佐伯涼介。俺はその男を一生許しません。」
谷田部の目から、涙が1筋流れ落ちた。
麗香は谷田部の手を持ち上げ、自分の肩のうしろに回すと、腰を浮かせ谷田部の涙を舌ですくいとった。
ふたりはしばらく見つめあい、どちらからともなく唇を重ねあった。
麗香はいったん唇を離すと、谷田部に向かい合うように谷田部の太ももを跨いだ。
谷田部は麗香を引き寄せると強く抱きしめた。
「俺、本当は麗香さんのこと利用しようと思って近づいたんです。」
「うん。」
「でも、できなかった。できなかったんです。」
「うん。」
谷田部は麗香の体を少し離すと、目をまっすぐ見て言った。
「俺、麗香さんの事、好きです。誰よりも大切です。ひどい弟ですか?姉が苦しんでいるのに、自分は結ばれたいと想っている人がいる。何よりも大切なものが他にできてしまった。これは裏切り行為ですか?」
麗香は膝立ちになり、谷田部の頭を胸の中に抱きこんだ。
「麗香さ・・・・」
谷田部も麗香の腰をぎゅっと抱きしめる。
麗香の腕の中から、小さな嗚咽が漏れる。
麗香は慈しむように、谷田部をいつまでも抱きしめ続けた。
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