淫猥病棟#75~覚悟~
コーヒーを持ち居間に戻ると、黒羽が話しはじめた。
「葛西さ、俺と健太たちが半分しか血がつながってないって、愛から聞いたんだって?」
「え?ええ。」
「その時、愛の事、叱ってくれたらしいな。ありがとな。」
「ううん。ぜんぜん。それよりも、その話を愛ちゃんが透さんにしたんですか?もしそうだとしたら、うれしいんですけど。話しても大丈夫だって思ったってことですよね?」
春奈はやや興奮しながら言った。
「直接俺に言ったわけじゃないんだけどな。」
黒羽はコーヒーを一口すすり、話を続ける。
「健太と愛がケンカしてな。俺が旅行に行けなかったのは愛のせいだって言って。だから俺がもうあいつらの事を要らないって言うんじゃないかって健太が。」
そう言ってコーヒーを一口飲む。
「そうしたら愛がさ。そんな事無いって。そんな事いったら俺が悲しむって、お前が言ってたって。」
黒羽が少し笑いながら春奈を見ると、春奈はその視線を受け取って軽く頷く。
「お前の言葉で、愛は救われたんだと思う。ありがとう、葛西。俺はあいつらがそんな事を考えているなんて、全然気づいてやれなかった。」
春奈はコーヒーを一口含み、にっこりと微笑む。
「私が言わなくても、いつかはちゃんと伝わったと思いますよ。愛ちゃんはちゃんと透さんの背中を見てますから。」
黒羽は暗い顔をして、マグカップをテーブルに置いた。
春奈が不思議そうな顔をして黒羽の顔をみる。
「俺さ、無意識のうちに、しっかりしなくちゃって、あいつらの完璧な兄であろうって気負っていたのかも。」
春奈は黙って見守っている。
「それがあいつらに変な風に伝わって、、、子供は敏感だからな。それで変な気を使わせていたんじゃないかと思う。」
春奈は優しい目をして黒羽を見ている。
「だからさ、俺、もうそういうのやめる事にしたんだ。」
黒羽が顔をあげ、春奈をまっすぐ見つめる。
「気負わず、ちゃんと言葉に出して、自分の気持ちに正直に生きて行こうと思う。」
黒羽の勢いに思わず春奈は首を縦に振る。
「いいと思いますよ。」
春奈はにっこりと笑った。
「葛西。お前の事もだ。」
「え?」
黒羽がぐいっと春奈に近づく。
「今まではお前や祐介の気持ちがどこかココロに引っかかっていた。でも、もうそういうのはやめる。」
そしてテーブルの上にある春奈の手を握る。
「葛西。俺はなりふり構わずお前を奪いに行く。」
そう言うと春奈の唇を奪った。
とっさの事に春奈は驚いて固まった。
唇を離すと、至近距離で黒羽が艶やかに笑う。
「覚悟しておけ。」
そう言って固まっている春奈を後にして居間を出て行った。
ひとり取り残された春奈は、ようやく我にかえった。
返った瞬間、顔が真っ赤になり湯気が出た。
---と、透さん?!
その火照りはいつまでたっても消えなかった。
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