蛇の涙#13~父の決意、祖父の想い~
医療法人財団 佐伯会本部。
日本屈指のその組織の長がいる理事長室のドアをノックしてリョウが中に入る。
その部屋の主が大きい革張りの椅子から立ち上がり、リョウを出迎える。
「涼介。お前から私に会いにくるなんて。どういう風の吹きまわしだ?!」
リョウの名前は佐伯涼介といい、この佐伯会理事長である祐一郎の息子である。
「親父。あんたには悪いが、俺はあの女から手を引かせてもらう・・・」
「・・・涼介?」
「あんたの道具になりきれなくて悪いと思ってる。だからもう、俺に構わないでくれ。俺は俺のせいで人生を狂わせてしまった彼女への贖罪のためだけに生きる。彼女が俺の命が欲しいというのなら、俺はよろこんで差し出す。だから、俺の能力の事なんて・・・俺の存在なんて忘れてくれっ。」
涼介はそういって部屋を飛び出していった。。
後に残された祐一郎はしばらく放心していたが、涼介の言葉を反芻して我に返る。
「私の名を語って・・・・誰かが涼介に佐伯の能力を使わせていた・・・のか?そうなんだな?涼介。」
ギリっと歯を食いしばる。
「誰が、何のために。必ず突き止めてみせる。」
拳を固く握り、怒りに肩を震わせながら、祐一郎は固く決意した。
「涼介様。涼介様。」
ビルを出た涼介を呼び止める声に、脚を止めそちらを向いた。
頭を下げているスーツ姿の男性の姿が目に入る。長い髪を後ろで一つに束ねているその風貌に見覚えがあった。
「・・あんたはじいさんの・・・?」
スーツ姿の男性が頭を上げ、涼介に向かって柔らかく微笑む。
「はい。虎二郎様の秘書兼執事をしております高瀬と申します。本日は虎二郎様の使いでやってまいりました。」
涼介は高瀬を無視してその場を立ち去ろうとすると、高瀬が呼び止めた。
「涼介様、あなた様の血の秘密を解き明かしたくはありませんか?!」
涼介は驚き目を見開いた後、ゆっくりと振り向いた。
そこにはまっすぐ涼介をみる高瀬がいた。
「涼介様も通っていらっしゃいましたあの大学。あれを建てたのは虎二郎様ということはご存知ですよね?」
高瀬の言葉に、涼介は黙って頷く。
「あの大学は、将来あなた様があなた様に流れる血の研究をする際に必要になるだろうと言って、建てられたものなのですよ?」
涼介は驚いて声も出なかった。
「どうぞ、大学に講師としてお入りください。そして、佐伯家の双子を縛るその血の謎を解いてください。それが・・・・長年の虎二郎様の夢でございます。どうぞ、虎二郎様の夢を、孫であるあなた様の手で叶えて差し上げてくださいませ。」
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