【淫靡な研究室番外編】キミに触れる夜#07
「ん……。」
薄暗い部屋の片隅で、弥生は意識を取り戻した。
「私……。ここ…は?」
目を細めあたりを見回す。
無機質なコンクリートの壁に囲まれた部屋。天井近くに明り取りの窓があるだけの部屋。
一目見て自分が置かれている状況の悪さを悟った弥生は、自分の身体を確かめた。
自分の身体に乱暴の形跡はなく、それについてはとりあえずほっと胸をなでおろした。
車から降りてきた男に何かをかがされ、車へと連れ込まれた。
朦朧とする意識の中、涼介から貰ったペンダントトップを握りしめる。
「りょ…すけさ……。」
どこを通りどこに連れていかれるのか。それを見届けようとした弥生だったが、ほどなくして意識を手放した。
「やぁ。目が覚めたかい?」
声のしたほうを向くと、弥生をつけまわしていた人物が皿ののったトレイを手にドアから室内に入ってきた。
---出入り口はあのドアだけなんだ。
男が部屋の中央のテーブルへと歩み寄った隙を狙って弥生はドアへと駆け寄った。
ノブを回すが鍵がかかっており、ドアを開けることはできなかった。
「そのドアはね。このカードがないと開けることができないんだよ、弥生ちゃん。」
セキュリティカードのようなものをヒラヒラと振りながら男がにた~と笑い、弥生はその不気味な笑みに思わずドアを背に1歩下がろうとした。しかし当然それ以上後ろにはさがれない。
「……ここは、どこですか?」
弥生が青ざめながらそう尋ねると、男はトレイをテーブルへと置き、弥生の方に向き直った。
「ここはねぇ。僕と弥生ちゃんの愛の巣だよ。」
じりっと男が間合いを詰めてくる。
「し…塩田くん……。ここを、開けてください……。」
「うれしい。僕の名前、憶えていてくれたんだ。」
塩田は弥生と同じ大学で、何回か話したことがある、というだけの間柄だった。
しかし塩田は弥生の笑顔に惹かれ、自分に向けられるその笑顔を好意だと勘違いしていた。
自分が好きなのだから、当然弥生も自分のことが好きなはず。そう思い、弥生を待ち伏せしたり、偶然を装って店などで同じ席につこうとしていた。しかしそれを弥生にやんわりと断られ、そこに別の男---涼介が座るのをみて、嫉妬した。そしてそれは涼介がそう仕向けていると思いこんだ。弥生は本当は自分と一緒にいたいのに、あの男が邪魔をしている、と。
「弥生ちゃん。やっぱり僕のことが好きなんだね。」
「塩田くん。今なら誰にも言わないから……。」
ふたりの会話はまったく噛み合っていなかった。
「なんなら隆弘って、下の名前で呼んでもらっても構わないよ。ううん。呼んでよ。弥生。」
そう言って塩田は弥生の後ろの壁に手をつく。
「どう?ときめく?壁ドン、女の人は好きなんでしょ?」
すべての女がすべての壁ドンにときめく訳などないのに、塩田は得意満面の笑みで弥生を見下ろしている。
「私を帰してください。」
弥生はその塩田の問いには答えず、塩田をまっすぐ見てそう言った。
しかし塩田は動じることもなく、ニヤニヤと笑いながら弥生を見ている。。
「帰るもなにも、ここが君の家だよ?君は僕と一緒にここで暮らすんだ。一生ね。」
そう言って弥生の顎を指で掴み、上へ向かせキスをしようとした。
しかし弥生はその手を振り払い、壁伝いに横へと逃れる。
「そんなこと、できるわけがないじゃないですか。」
「弥生ちゃんは怒った顔もかわいいねぇ。」
「こんなこと、すぐにバレます!すぐに見つかります!」
「大丈夫。見つからないようにしてくれてるから。」
---"してくれてる"?
「……してくれてるって、他に誰か協力者がいるってことですか?」
弥生の言葉に塩田は明らかに動揺した。
しかしそれを取り繕うようにひきつった笑顔を見せる。
「大丈夫。誰にも邪魔はさせないから。ゆっくりと愛を育んでいこう?」
---誰があなたなんかと。
弥生はそう思い、キッと塩田を睨んだ。
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こんにちわ。まぬかんです♪
弊ブログは土日祝はお休みさせていただいております。
が。
年末年始は、不定期ではありますが、お話をアップしたいなぁと思っております♪
え?そうです。あせってます(笑)
このままだと、元旦に「メリークリスマス」とか言いそうな予感がしてます。
あいかわらず自由な私ですが、今後ともどうぞよろしくお願いしまっす♪
おしらせ
今回のお話ですが、いままでは「淫靡な研究室2」というカテゴリにいれていましたが、わかりにくいのであたらしく「淫靡な研究室番外編-キミに触れる夜」というカテゴリを追加し、そこに前回までのお話も移動しました♪
私信
Yさんへ(アルファベットのお名前のYさん)
こんにちわ。お返事おそくなってしまってすみません。心配してくださってありがとうございます。
スローペースですが、ぼちぼち更新していきますので、よろしければのぞきにきてやってくださいませ♪
ありがとうございました。
Yさんへ(ひらがなのお名前のYさん)
こんにちわ。なかなかお返事できず申し訳ありません。こんな不義理な私にいつもコメントいただきましてありがとうございます♪
めりくりです♪涼介すきと言ってくださったのになかなか涼介出てこなくってすみません。
そのうち、ええ、そのうち!!
ありがとうございました。
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