【妄想彼氏番外編】ヨコシマな願いは叶わない #07

「で、遥ちゃんを家まで送って、それっきりですか？」

「はい……。」

涼介の家のリビングで、弥生の言葉に祐介は肩身を狭くし、首をすくめる。

ーーー怖え。普段は大人しい弥生ちゃんが静かに怒ってるのって、めちゃくちゃこええ。

「紅茶、冷めますからどうぞ。」

祐介に紅茶をすすめ、自らもテーブルにあるカップを取り上げる。こくんと紅茶を飲み、再びテーブルにあるソーサーにカップを戻す。

この一連の動きがまるで怒って高ぶる気持ちを抑えているように見えて、祐介はただ弥生を見ていた。

遥を送ったあと、街中で歩いている弥生をみかけ、車で送ってきたところだった。
最初は和やかに話していた弥生だったが、祐介が車に乗っている顛末を聞くと徐々にその顔色が変わっていった。

「お茶だしますので、寄っていってくださいね。」

有無を言わせないその誘いに、祐介は息をのみながら首を縦に振るしかなかった。


「祐介さんの気持ちもわかりますよ。」

その言葉に祐介は顔を明るくする。

「でも、言い方ってあると思います！」

ピシャリと言い放つ弥生に、バツが悪そうに笑う。

「進路に悩んでいるとき、好きな人と一緒にいれたらって思う気持ちは当然だと思いますよ。」

「うん……」

「でも祐介さんは、遥ちゃんが本当にやりたいことを見つけて欲しいって思ったんてますよね？」

祐介は黙って頷く。

「それを"勘違い"とか……。」

「すみません……。」

そんな祐介に弥生はにっこりと微笑む。

「私に謝ってどうするんですか？」

「はい。ごもっともです。」

芝居がかったようにうなだれて祐介がそう言うと、弥生はにっこりと笑った。

「祐介さん、私実はちょっとホッとしました。。」

「どういう、意味？」

「遥ちゃんとの関係、うまくいってるみたいで。」

弥生のその言葉に、祐介はソファの背もたれに寄りかかりながら、弥生を見た。弥生は相変わらずにこにこしている。

「なにそれ、イヤミ？」

弥生がイヤミなど言うわけが無いのだが、何となく居心地の悪さを感じて祐介はふざけたようにそう言った。

「祐介さんと遥ちゃん、年齢が離れているから、祐介さんが保護者のような気持ちになっていないといいなと思っていたんです。」

「……は？」

祐介は驚いてソファの背もたれから身体を起こした。

「女の子は不安なんですよ。人によりますけど、年齢が離れていると、相手は…祐介さんは同じ年代の大人の女の人がいいんじゃないかとか、自分が子供っぽいから相手にしてくれないんだ、とか。」

「俺が？そんなことあるわけないじゃん。」

弥生はこくんと頷く。

「そうですね。でも、それを遥ちゃんに伝えているわけではないですよね？」

祐介は黙って弥生を見つめる。

「ちゃんと、言葉に出して伝えなければいけない事ってあると思います。」

「弥生ちゃん……」

「さ。祐介さんは用事を思い出したはずです。私もご飯の支度がありますから帰ってください。」

弥生が立ち上がって祐介を追い立てるような仕草をする。
それに煽られて祐介も立ち上がり玄関へ向かう。

玄関で靴を履き、弥生に背中を向けたまま祐介はポツリとつぶやいた。

「弥生ちゃん、さんきゅ、な。」

そして振り返らずそのまま涼介の家を出た。

弥生は閉まったドアに向かって微笑みながら手を振った。




↓よろしければ、１日１回、愛のクリックをお願いします♪更新の励みになります♪

関連記事

• 【妄想彼氏番外編】ヨコシマな願いは叶わない #09
• 【妄想彼氏番外編】ヨコシマな願いは叶わない #08
• 【妄想彼氏番外編】ヨコシマな願いは叶わない #07
• 【妄想彼氏番外編】ヨコシマな願いは叶わない #06
• 【妄想彼氏番外編】ヨコシマな願いは叶わない #05

←お礼ページ始めました♪

FC2ブログランキングに参加しています  よかったら「つん」ってしてね♪

にほんブログ村ランキング(愛欲小説)にも参加  しています。押してもらえると小躍りします♪♪

人気ブログランキング（官能小説）に復帰でき  ました♪押してもらえると跳ねて喜びます♪♪

官能小説.comのランキングに参加してみました♪  よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪

官能文書わーるどのランキングに参加してみました♪  よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪

いつも応援してくださってありがとうございます！！みんな優しくって大好きですっ