淫猥病棟#43~懐かしい場所~
---ここは?
祐介はぼんやり目を開けてあたりを見回す。
---あぁ、懐かしい。クロんちだ…。昔、良く来たなぁ…
「祐介、目が覚めたか?」
いつからいたのか、黒羽が心配そうに祐介の顔を覗き込む。
「お前、ひどい貧血状態だぞ。何があったんだ?」
「あぁ…。それよりさ、お前、さっきよく俺が祐介だってわかったな…涼介のカッコしていたのに…」
黒羽は驚いた顔をする。
「当たり前だろ?格好なんて関係ない。なんでそんなこと言われんのか逆にわからない。」
祐介は驚き黒羽の顔を見る。そして顔がボッと赤くなり、布団を慌ててかぶった。
「ったく、わけわかんねぇやつだな。」
黒羽はそういうと、布団からはみ出ている祐介の頭をポンポンと叩いた。
布団をかぶったまま祐介が抗議する。
「子供扱い、するな。」
「あ、すまん。つい癖で。」
「・・・お前んち、懐かしいな…。」
「・・・昔みたいに、いつでも来いよ。健太達も大きくなったからさ。」
「・・・ああ。」
「来たら子守りな。」
「えっ。それは勘弁してくれ。」
祐介が布団から顔をのぞかせて笑い出す。
黒羽も一緒に笑っている。
「今日はチビ達は?」
「今日はもともと遠出する予定だったから、知り合いのところに預けてあったんだ。」
「遠出?春奈とか?」
「ああ・・・。」
お互い気まずくなって口をつぐんだが、先に開いたのは黒羽だった。
「お前さ、俺の親父のこと覚えてるか?」
「ん?お前が高校三年の時、たしか刺されて…」
「その親父の墓参りに行こうとしたんだ。葛西と。」
祐介は不思議な顔をした。
「なんで春奈と?」
「葛西なんだ。」
「え?」
「あの時、親父が助けた女の子は葛西なんだよ。」
「え・・・。え---っ。お前っ。たしかあの時その子にあって、それで医者めざしたんだよなっ」
「ああ。よくおぼえてるな。」
「・・・すごい。これは、運命だ。」
---俺なんか立ち入れないぐらい、すごい運命だ。春奈のことが大切だと気がついた瞬間に、諦めなきゃいけないのか。俺は。でも・・・。
「・・・よかったな。再会できて。」
祐介の含みを持たせる言い方に不審がりながらも、ああ、と黒羽は答えた。
「幸せにしてやれよ。」
そう言って祐介は布団をかぶり、背中を向けた。
---これで、いいんだ。
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