淫猥病棟#46~冷たい汗~
その時、祐介の携帯が鳴った。
表示を見ると、涼介からだった。
「涼介?どうした?」
祐介が電話に出ると、涼介は開口1番に言った。
「兄貴。今どこにいる?」
声色がおかしい。明らかに怒っているのを抑え込んでいる声だった。
なんで怒っているのか、心当たりが多すぎてどれかわからない。
黒羽の家にいると答えると、涼介は短くわかった、そっちへ行く、とだけ言った。
「黒羽、悪い。涼介が来る。」
皿を片付けながら黒羽が振り返る。
「構わないが、俺は外した方がいいか?」
祐介は一瞬考え込み、ニヤッと笑った。
十数分後、表に車の停まる音がする。
黒羽が玄関を開けると、ちょうどタクシーから降りた涼介がいた。
黒羽は少し手を挙げながら声をかける。
「よお、涼介。久しぶり。何年ぶりだ?よく俺んち覚えていたな。」
てっきり祐介が出迎えるものだと思っていた涼介は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「透、久しぶりだな。散々いりびたっていたからな。忘れられないさ。それよりか病院には何度か行ってるんだが、顔を出せずにすまん。」
別に構わないと言いながら、黒羽は涼介を家の中へ迎え入れた。
玄関に入り、それでも祐介が現れないことを不思議に思った涼介は、黒羽に尋ねた。
「うちのバカ兄貴は?」
「その・・・非常に言いにくいんだが・・・」
黒羽が言い淀むと、それですべてを察した涼介は怒気を吐き出した。
「あの、クソバカ兄貴。逃げたのか?!」
「すまん。引き止めたんだが…」
黒羽がすまなそうにいうと、涼介はハッとして怒りを表面上は抑えた。
「うちのバカは今何をやっているかしってるか?透。」
黒羽は首を横に振る。
「いや…。ただ、ヤバイ橋を渡っていそうだ。」
そんな黒羽の言葉に眉をひそめながら、つぶやくように言う。
「そうか…」
「聞きたいことがあるんだ。涼介、少し上がっていかないか?」
そこで涼介は祐介がひどい貧血状態であることを黒羽から聞いた。
「あの貧血は尋常じゃない。物理的に血が大量になくならないと、あそこまでひどくはならない。祐介はひどい重傷を負っているか、もしくは大量に血を抜く必要があったということになる。」
涼介は黙って黒羽を見る。
「しかし、あいつは普通にシャワーを浴びていた。ということは傷を負っているとは考えにくい。とすると、血を抜く以外考えられないんだ。」
涼介の表情がだんだん険しくなる。
「ショック状態になる一歩手前の状態だ。ありえない。なにか心当たりはないか?」
涼介の顔色が目に見えてどんどん悪くなっていく。
それどころか、今にも吐き出しそうに口に手をあて、額からは汗が吹き出ている。
「涼介?」
冷たい汗が背中を伝うのを感じながら、涼介は携帯を取り出した。
---どうか、俺の思い過ごしであって欲しい。
涼介はそう思いながら、高瀬に電話をかける。
何コールかして、高瀬が電話に出た。
「そろそろかかってくる頃ではないかと思っておりました。涼介様。」
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