すっぴん代議士とフェチ男たち#03~緊急信号~
暑い。
夏なんだから当たり前なんだけど、暑すぎる。日焼け止めがすべて流れてしまいそうだ。
私、高階ゆう子は、昔遊んだこの公園の草むしりボランティアをしている。
一番草むしりに向かないこの季節は、一番草が伸びる時期でもある。
こまめに通わないと、どんどん大変になる。
「こんにちは。今日も草むしりに精が出ますね。」
声の主を見上げると、少し目の細い、少しだけ神経質そうな男性が立っていた。
あ、初対面の人を観察してしまうのは悪いくせだ。ちょっとここのところ、敵か味方か探る癖がついてしまった。ほんと、イヤな癖。これもみんなあのオトコ、綿貫のせいだわ。それと、土壇場でヤツを護った某政治家のせい。
あの告発から二週間。私のところには敵味方を問わず、様々な人間からコンタクトがあった。
その人たちに応対している間、私はすっかり人を観察する…疑いの目で見てしまうというイヤな癖がついた。こんなの私じゃない。
自分も含めて、人間不振になってしまうわよ。
「あの?」
男性が声をかけてくる。
いけない。ちょっと忘れていた。
「こんにちは。むしってもむしっても、たくましく生えてくるの。キリがないわ(笑)」
笑いながら男性の顔を見る。
なんだか、彼の雰囲気には覚えがあった。でも、思い出せない。
「あの…。私達、どこかで会いました?」
思い切って尋ねてみる。
だって、わからないんだから、聞くしかないじゃない。
男性がクスっと笑う。
「キミは、本当にステキな女性だ。ゆう子。」
いきなり下の名前を呼ばれ、私の中でけたたましく警告音が鳴る。
危険だ。このオトコは、危険だ。
私の名前を呼んだ時に出したオーラのような雰囲気が、真っ黒だ。
「キミがこの公園に来ている時は、いつもキミの事を見ていたよ?」
オトコは不敵に笑いながら私を見下ろす。
まずい。体勢が悪い。
しゃがんだままの私が立ち上がって逃げても、このオトコが上から押さえつける方が速いに決まってる。
そもそも、逃げるスキがみつからない。
「そんな怖い顔をしないで。なにも危害を加えようってわけじゃないんだから。」
「・・・」
私はオトコの真意をさぐろうと、まっすぐに見上げる。
オトコが唐突に人の良さそうな笑顔をつくる。でも、いかにも作り物っぽい。
「そこの喫茶店で、冷たい飲み物でもいかがですか?」
面食らった。
・・・うん。
このオトコが何者か知りたいし、そもそもこうしていてもしょうがないし、話に乗るしかないか。
「おごり?」
「もちろん。」
男性はにこやかな笑顔を浮かべながら手を差し伸べ、私はその手をとって立ち上がる。
お尻についている土を払うふりをして、携帯のストラップについている緊急発信ボタンを押す。ジョーがくれたもので、位置情報の発信と、あらかじめ登録しておいた番号に緊急信号を発信してくれるというスグレモノだった。
ジョー。気がついて。
私は冷静を装い、オトコに声をかける。
「じゃあ、行きましょうか。あなたの事はなんて呼べばいいの?」
男性は少し考え、少し背筋の寒くなるような笑顔を見せ、こう言った。
「タカ。タカと呼んでください。」
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