淫猥病棟#105~ご褒美~
それからというもの、黒羽はすっかり時の人となった。
端正な風貌とあいまって、ワイドショーなどは連日黒羽を追った。
しかし黒羽本人はどこ吹く風で、あくまで普段通りに過ごしていた。たった一つを除いては。
春奈が病棟の廊下を歩いていると個室のドアがあき、中から出てきた手にいきなり部屋の中へと引き込まれた。背後から春奈を抑え込むようにして抱きしめる。
声を上げようとしたところ、口を大きな手で覆われてしまう。
---なにっ。だれっ?!
春奈が逃れようとバタバタと手足を動かすと、耳元で声がした。
「葛西。俺だ。」
拘束する力が緩み、春奈が後ろを振り返ると、笑顔の黒羽が立っていた。
黒羽は入口の鍵を閉め、春奈に向き合うと、今度は正面から抱きしめる。
「会いたかった・・・」
そう言って春奈を抱く腕にさらに力を込める。
---そんなこと言われたら、キュンってなっちゃいます…。
春奈は黒羽の胸に顔をうずめながら、そう思った。
「マスコミに追いかけらるのはガマン出来るんだが、葛西に会えないのは、ガマンできないんだ。葛西・・・」
そう言って春奈の顎を指でクイっと上げる。
「と、透さんっ。この度はおめでとうございましたっ。」
黒羽がクスッと笑う。
「杓子定規な言葉だな。」
黒羽の笑顔に、春奈は何も返せないでいた。
「言葉より・・・。ご褒美をくれよ。」
「え?」
黒羽がニヤッと笑った後、目を閉じて動かない。
---これは、キスをしろってことですか?ご褒美って、私からのキス?!
春奈はドキドキしながら黒羽の両頬に手を添える。
黒羽が少しかがんでいるとはいえ、高いその到達点に向かい、かかとを上げ・・・キスをした。
そしてゆっくりと唇を離す。
お互いの目がゆっくりと開き、視線が絡み合う。
「透さん、海外に行っちゃうって、本当ですか?」
黒羽が目を丸くして春奈を見下ろす。
「寂しい?」
黒羽が春奈に聞くが、春奈は黙ったままでいる。
「確かに声はかかっているよ。」
春奈が驚いて黒羽の顔を見上げる。
「健太と愛に広い世界をみせるにはいい機会だと思っている。向こうの方が家族に対するバックアップ制度は整っているしな。でも、俺には日本でやり残したことがあるんだ。それが解決するまでどこにも行かない。」
春奈はピンときた。
「シロチョーのことですか?」
黒羽はニコッと笑いながら頷いた。
「葛西。それが解決したら・・・。俺と一緒に行かないか?俺は、葛西についてきて欲しいと思ってる。」
春奈は驚いて黒羽を見つめている。
「葛西春奈さん。俺と結婚してください。」
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