妄想彼氏#03~私を買わない?~
「ハ、ハラ痛い…。」
男性は笑いながら右手でお腹をさすっている。
「な、なんだね、君はっ。痴漢をしておいてその態度はなんなんだっ?!」
駅員が我にかえり、男性に向かって怒りをぶつけると、男性は少し涙が滲んだ目を駅員に向け口をひらく。
「無理なんですよ。」
「は?」
「だから、俺の手では痴漢なんて無理なんですよ。」
そう言って左腕の袖をめくると、そこには大きな傷跡があった。
「怪我をして、リハビリをサボっていたので、あまり動かないんですよ。俺の指。どうやって痴漢できたのか、俺が教えてほしいぐらい。」
遥と駅員はその傷跡に目が釘付けになる。
男性は笑いながら袖をもとに戻す。
「さて、おじょーさん。ゆっくり話をしようか?」
男性は脚を組み、肘掛に腕を預ける。ゆったりとしたその挙動が育ちの良さと度量を伺わせる。その様子を見て、遥は完全に敗北を悟った。
「勘違い…だったみたいです…。」
男性はニコッと笑う。
「"ごめんなさい"は?」
小首を傾げ指を自分の顎にあて、遥の顔を覗き込むように見る男性の顔は、どこか楽しげで、遥の神経を逆撫でする。
「ごめんなさ…。」
男性はニヤッと笑うと、うつむいている遥の頭をポンポンと二回ほど軽く叩き、席を立った。
---悔しい。悔しい!
遥は少し遅れて男性の後を追った。
駅の階段を上がったところで男性の後ろ姿を発見し、前に回り込んだ。
「おっ。まだ何か用?詐欺師のおじょーさん。」
「詐欺師じゃないもん。」
男性は左手をスラックスのポケットに入れたまま、遥を見下ろしている。
「じゅうぶん詐欺師だよ。もうやめな。こんなこと。いつか痛い目にあうよ。」
遥は男性をキッと睨む。
「何よ、いい人ぶっちゃって。」
男性は愉快そうに黙って遥をみている。
「オトコなんてヤることしか考えていないくせにっ。オンナの躯を見て妄想しかしていないくせにっ。」
男性が握った手を口にあてて、ぷっと吹き出す。その様子を見て遥はますますボルテージが上がる。
「アンタだって同じでしょ?!そうだ、おじさん、私を買わない?」
仁王立ちになり腰に手をあてながら、遥は言った。
冷たい風が吹き、遥のスカートをはためかせた。
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