妄想彼氏#05~あいつを困らせたい~
「遥、最近なんかあった?超機嫌いいじゃん。」
遥のクラスメイトの恵が声をかけてきた。
遙は意味ありげな笑みを浮かべていると、恵はさらに聞いてくる。
「ちょっとー。超意味深なんだけど。教えなさいよ」
遥はふふふと笑ってそれ以上語らない。
ーーー教えない。だって、私の妄想上の彼氏だもの。
あの後、試しにメールを送ってみた。きっとあの場をやり過ごすための適当なメールアドレスだろうと思ってメールを送ったのだが、意に反してメールが返ってきた。
ーーーおどろいたなぁ。本当にメールが返ってくるとは思わなかったんだもん。
遥は再びふふふっっと笑う。
それをみて恵も再び怪訝な顔をする。
なんだかんだ言って、メールのやりとりを楽しみににしている自分がいることを、遥は気がついていなかった。
学校が終わり、いつものように仲間と連れ立って渋谷をうろつく。
特に目的があるわけでもなく、ただダラダラとお店をまわっている。
その時、車の後部座席から降りる達也の姿が目に入った。
「あ・・・・」
声をかけようと、すこし手を挙げる。
達也も気がついたようで、視線が合う。
遥が口を開きかけたその時、達也はふいっと視線をそらした。
ーーーどういうこと?
遥は驚き、その場に立ち止まる。
ーーーなによっ。外であったときは無視なの?!
達也はそのまま車の反対側にまわり、ドアを開けると、中から女性が降りてきた。
達也はその女性の手を取り、女性に向かって微笑みかけている。
少し歳が離れているようにも見えるが、2人がいい関係であることは、遥の目にもわかった。
ーーーそう、そういうこと。わかったわよ。
遥は携帯を取り出し、猛スピードで打ち込む。送信ボタンを押した後、達也に向かってアカンベーをする。
それに気がついた達也は目を丸くしてその場に立ち止まっている。
まるでわけがわからない、といった表情に、遥はさらにイラつく。
その時、遥の携帯にメールが届いた。
そして間髪入れず、着信が入る。
反射的に液晶画面を見ると、そこには『妄想彼氏』の文字が表示されている。
しかし目の前の達也は電話をかけているようには見えない。
ーーーあいつ、私の携番、流しやがった!
達也をにらみながら携帯に出る。
「なんだよ、このメール。「どうぞお幸せに」って、わけわかんないんだけど。」
今度は遥が目を丸くする番だった。
ーーーなんで?電話をかけているようには見えないのに。
「な…んで?電話なんてしてないのに…。」
遥が小さくつぶやくと、電話の向こう側でクスッと笑う声が聞こえた。
「あぁ、そういうことか。今俺にそっくりなやつがいたんだね?。女連れで。で、無視されたと思ったわけね。」
話終わった後、送話口を抑えていると思われるが、それでもくっくっという愉快そうに笑う声が聞こえる。
「大丈夫だよ。俺は君を裏切らない。だから焦らなくていいから、本当の彼氏をさがすんだ。いいね?」
そう言って自分を諭す大人の余裕みたいなものを感じ、遥は携帯を睨みつける。
この余裕ぶっている大人を困らせたい、と、遥は思う。でも、具体的にどうすればこの余裕のある笑みしか見たことのないこの男を困らせることができるのか。遥は皆目検討がつかない。
「ね。会いたい。」
遥がそう言うと、達也は諭すように答える。
「妄想彼氏は妄想の中だけだよ。近くにいて触れたら、それはもう妄想じゃない。」
ーーーあぁ、そうくるわけね。
遥はムカッとした。自分の心の奥でチクっとした小さな痛みには気がついていない。
「じゃあ、夜に電話してもいい?」
一瞬の間の後、達也が返事をする。
「いいよ。こっちからかけるよ。何時頃がいい?」
「達也の都合のいい時間でいい。」
「OK。じゃあ、少し遅いんだけど、23時頃でいい?」
「うん。それでいい。」
そう言って遥は電話をきった。
遥にはある計画があった。
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