淫猥病棟#24~静かな炎~
どれくらい時間がたっただろうか。
外はすこし白みがかって、夜明けが近い事を告げていた。
横では祐介が穏やかな寝息をたてている。
あの後、祐介は春奈を抱きしめたまま、眠りについた。
久々に祐介に訪れた、優しい眠りの時間だった。
そんな事は当然春奈は知る由もないが、それでも祐介の眠りを妨げたくない、守りたいとおもっていた。
祐介の髪を撫でながら、春奈は思いを巡らす。
---
先生の言った『ごめん』は、たぶん先生自身に向けての言葉だ…。たぶん先生と私がオーバーラップしたんだ…。でも、先生が私を気にしてくれた気持ちはホンモノだし、抱いてくれたのも私自身。うん。私は大丈夫。先生が私を見てくれたってところだけ大切にしまっておこう。
「祐介先生、帰りますね。」
そう小声でつぶやくと、頬に軽くキスをした。
マンションの下でタクシーを拾い、看護師寮に戻る。
寮に着き精算しようとしたところ、タクシーの運転手が話しかけてきた。
「お客さん、建物の前に人が立ってるけど、どうします?降りますか?」
「え?」
運転手の目線を追い、春奈は息をのんだ。
バイクに寄りかかり、まっすぐこちらを見ている黒羽がいた。
春奈には静かに揺らめいている炎が見えた。
タクシーを降りると、黒羽がまっすぐ歩いてくる。
黒羽は春奈の目の前でとまり、手をあげる。
---ぶたれる?!
春奈が身構えた瞬間、強い力で抱きしめられた。
「と・・・」
春奈が名前を呼ぼうとすると、さらにギュッと抱く腕にチカラを込める。
何も言わせない。
お前はこのまま俺の腕の中にいればいい。
そう言っているかのようだった。
「いつから、ここに?」
黒羽の胸の中に顔を埋めながら、春奈は黒羽に尋ねる。
黒羽は答えない。
「ごめんなさい。心配かけて。」
黒羽は春奈の耳元に口を近づける。
一瞬唇が触れたか?と思うぐらいの時間だった。
次の瞬間には黒羽はまっすぐ立っていた。
「無事が確認できれば良かったんだ。じゃあ、お休み。」
少しだけ寂しそうにそう微笑み、バイクにまたがり帰っていった。
春奈は黒羽の唇が触れた所に手をあて、バイクが見えなくなるまで見送っていた。触れたところが、ほんのりと熱かった。
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