淫猥病棟#27~過去の記憶~
その勢いで、黒羽は横を向くような格好になり、春奈を抱え込むように抱きしめる。
「俺が、冗談なんて言った事、あったか?」
黒羽の真剣な目が春奈をまっすぐに見る。
春奈は何も言えず、ただ視線を返している。
「毎日見てるから気がつかなかったけど・・・ナース服って・・・ソソるんだな・・・」
「はぁ?」
そのまま春奈を抱きしめる格好で、黒羽は寝てしまった。
---困ったなぁ・・・。まったく動けない。
黒羽の腕を外そうとするが、びくともしなかった。
---私は抱き枕ですか。最近代用品づいてるな、私。
自虐的な発想に1人でふふ、と笑う。
目の前には黒羽の寝顔がある。
長いまつげ。
綺麗な鼻筋。
形の良い唇。
---透さんって、ほんと、モデルみたいだなぁ・・・
そんな矢先、黒羽がうなされるようにつぶやいた。
「・・・ルちゃ・・・ん」
「え?」
「ハルちゃ・・・。泣かない・・で・・・」
春奈の心臓がドクンと大きく波打つ。
心の奥深くにある記憶がフラッシュバックする。
夏の終わり。
轟く雷と激しい雨。
地面に座り込む自分。
自分の腕の中には・・・だんだんと失われていく生命。
声にならない、声。
助けて。
誰か、助けてっ。
泣かないで。ハルちゃん、もう泣かないで。
遠い日の記憶。
忘れる事が出来ない、忘れてはいけない、自分の分岐点であり、原点。
「な・・・んで?」
当時の記憶が蘇り、涙が滲む。
「なんで?・・・あなたは、誰?」
「う・・ん。」
黒羽の顔が苦しそうに歪む。
「透さん?」
「・・・んっ。」
黒羽は眉をしかめ、息をつめる。
「透さんっ」
春奈が黒羽の名前を呼ぶと、黒羽は目を覚ました。
「かさ・・・い・・?」
黒羽は柔らかく微笑むと、春奈の目尻から落ちている涙をすくった。
「お前は、いつも泣いてるんだな・・・。」
そういうと再び眠りについた。
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