俺様王子とヒミツの契約#08
「まりあ、見てて。」
そう言ってキッチンのシンクの前まで歩いて行くと、シンク下の扉から包丁を取り出し、利き腕とは逆の腕に振り下ろした。
まりあは驚きのあまり、叫び声すらも出なかった。
ウルは少しだけ息を荒げると、片目をつぶってまりあに微笑む。
「まりあ、見ててね。」
そう言うと包丁でザックリとキズをつけた腕を少し高くあげた。
まりあが我に返る。
「ちょっとっ。なにやってるのよっ。はやくっ。止血っ」
そう言って立ち上がりキッチンへと向かう。
ウルの腕をつかむ。
「優しいね。まりあ。でも、大丈夫だから。」
ウルはそう言って微笑む。
「なんで大丈夫なのよっ。・・・?」
まりあはウルの腕をみて再び言葉を失った。
傷口が、ぷしゅーという音とと共に煙のようなものが上がり、みるみるうちにふさがっていく。
目の前で起こっている光景に、ただめをみはるばかりのまりあであった。
しばらくすると、傷口は完全にふさがった。
「・・・」
まりあは何も言えない。
「まりあ様、これで信じていただけましたでしょうか?我々が人外であるということを。」
まりあは黙って首を縦に振った。
「アルー。おなかすいたよぉー。」
ウルが涙目でアルに訴える。
「そうですねぇ。私も少し空腹感をおぼえています。」
アルはそういうと、まりあに向き直った。
「まりあ様、お願いがございます。」
あらたまって言うアルに、まりあは思わず腰が引ける。
「な、なに?」
「我々に糧を恵んではいただけませんでしょうか?」
まりあはほっと胸をなでおろす。
「なんだ。そんなこと。いいわよ。なに食べる?出前でいい?冷蔵庫はビールしか入っていないし。」
「それもいかがなものかとは思いますが・・・・。我々は口からモノを摂取するのではございません。」
まりあは、座っている後ろの棚から出前のメニューをとろうとして手をのばしていた。
「は?」
「我々は王子からしかエネルギーを頂戴することができません。われわれは王子が発しているエネルギー、即ち"気"のようなものを糧としております。」
まりあは手を伸ばし固まったままアルの顔を見た。
「そして王子は、主人であるまりあ様からしか、エネルギーを頂戴することができません。」
まりははくちをパクパクさせる。
「じゃぁ、何?私が"気"を発すればいいの?っていうか、どうやるのよ。」
その時、まりあはアルが冷笑したように見えた。
- 関連記事
-
- 俺様王子とヒミツの契約#10
- 俺様王子とヒミツの契約#09
- 俺様王子とヒミツの契約#08
- 俺様王子とヒミツの契約#07
- 俺様王子とヒミツの契約#06
←お礼ページ始めました♪
FC2ブログランキングに参加しています よかったら「つん」ってしてね♪ |
にほんブログ村ランキング(愛欲小説)にも参加 しています。押してもらえると小躍りします♪♪ |
人気ブログランキング(官能小説)に復帰でき ました♪押してもらえると跳ねて喜びます♪♪ |
官能小説.comのランキングに参加してみました♪ よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪ |
官能文書わーるどのランキングに参加してみました♪ よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪ |
いつも応援してくださってありがとうございます!!みんな優しくって大好きですっ
ささやかなお願い:
当ブログには「inポイントを稼ぐための騙しリンク」や「PVを稼ぐための意味の無い大量の空白行」はありません。
皆さんの愛(クリックや閲覧)だけで成り立っています。もし「しょうがねぇな、少しは応援してやるか」という気持ちになられましたら、バンバンクリックしていただけると泣いて喜びます。
当ブログには「inポイントを稼ぐための騙しリンク」や「PVを稼ぐための意味の無い大量の空白行」はありません。
皆さんの愛(クリックや閲覧)だけで成り立っています。もし「しょうがねぇな、少しは応援してやるか」という気持ちになられましたら、バンバンクリックしていただけると泣いて喜びます。
官能小説 : 俺様王子とヒミツの契約 - 関連記事
- 俺様王子とヒミツの契約#10(2013.08.10)
- 俺様王子とヒミツの契約#09(2013.08.10)
- 俺様王子とヒミツの契約#08(2013.08.10)
- 俺様王子とヒミツの契約#07(2013.08.10)
- 俺様王子とヒミツの契約#06(2013.08.10)