淫猥病棟#92~動揺~
その後、春奈は福田に礼を言って勤務に戻った。
福田が春奈を呼び止める。
「葛西さん。人の死に対して泣けるあなたのその気持ちを大切にして。決して死に対して鈍感になってはダメ。」
「師長・・・」
「冷静になるのは必要だけど、心の中は熱くありたいと思ってる。もう私に人の死に対して泣けるという感情はないけど。そうやって自分を守ってきたのだけど、人間としてどうかと思うわ。」
「師長・・・。」
---師長に聞いてみようか、シロチョーの事を。祐介先生はこの二人はなにか関係がありそうだって言っていた。
「師長、ちょっとお相談したい事が・・・。」
「仕事?それともプライベート?」
「プライベートです。」
「・・・じゃあランチを一緒にしましょうか?お昼頃、屋上で待ってるわ。」
「はい」
春奈は勤務に戻り、午前中は目まぐるしく働いた。その目まぐるしさが、春奈に金山の事を考える時間を与えなかった。
春奈は購買で買ったおにぎりが入った袋を手に下げ、屋上へと向かった。
屋上に出ると、あたりをキョロキョロと見回す。
「あ」
端の方のベンチに座っている福田の背中が見えた。
春奈は早歩きで福田の元へ行くと、お待たせしましたと言って隣に座った。
「私のクチから話せる事は多分あまりないと思うわよ?」
先手をうって福田が言う。
「シロチョーの奥さんについてききたいんです。あと、多分お子さんのことも。」
福田が驚いて春奈を見る。
「なん・・・で、葛西さんが頼子とその子供の事を知ってるの?」
「頼子さんっていうんですか、シロチョーの奥さん。亡くなったって話は聞いているんですけど、ご病気ですか?」
福田は春奈の目から見ても、明らかに動揺していた。
こんな福田を見るのは初めてだった。
やがて長くため息をつくと、いつもの福田に戻った。
「まさか頼子の話だとは思わなかった。てっきり・・・」
「てっきり、なんですか?」
福田はふふっと笑った。
「あぶない。誘導尋問にひっかかるところだったわ。」
春奈も笑った。
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