淫猥病棟#94~レストランの魔法使い~
その日の勤務が終わり、春奈は祐介と待ち合わせたレストランへと急いでいた。
そしてレストランに着くと、その店構えに驚き、気後れした。
---ここ、今話題になってる二ツ星のレストラン。名前が似てるなとは思ったんだけど。どうしよう。こんな普段着みたいな格好で。
店の前でウロウロしていると、店の中から品の良いタキシード姿の紳士が出てきた。
「どうされました?お嬢さん。」
その紳士は見た目は外人なのに、流暢な日本語を話した。
春奈は会釈をすると、少し困った顔で話し始めた。
「中で待ち合わせているんですけど、こんな格式の高いレストランだと思わなかったもので、ドレスコードが・・・」
すると紳士は両手を広げ、穏やかに笑った。
「おかしくありませんよ?可憐なお嬢さんにピッタリのワンピースです。」
春奈は少し照れながら前髪を直す振りをした。
「それにレストランというのは美味しいものを食べて幸せになっていただくところです。ドレスコードなんて本来は必要の無いものなんですよ。ただ特別な気持ちになりたいから、特別な格好でいらっしゃるのです。それは素敵なことです。」
そう言って春奈に向かってウィンクをした。
「どなたとお待ち合わせですか?」
「はい。佐伯祐介さんと…」
「おー、ユースケ。そうですか。あなたが。」
そう言ってその紳士は春奈を上から下まで無遠慮に見た。
そんな自分に気がついたのか、失笑し非礼を詫びた。
「ユースケと私、というよりもユースケの家とこのレストランは、昔からの付き合いなんですよ。ご案内しましょう、お嬢さん。私はこちらのレストランで、メートル・ド・テル(給仕長)をしておりますジョルジュと申します。どうぞ今後ともよろしくお見知り置きください。」
恭しくお辞儀をすると、レストランのドアを開き、春奈を招き入れた。
春奈の目の前に別世界が広がる。
上流階級を思わせる雰囲気の中に、なぜかほっとする空気が流れている。
---居心地がいいレストラン・・・・。
春奈は1歩足を踏み入れただけで、そんな印象を持った。
ジョルジュに案内され向かった先は二階にある個室だった。
「春奈、お疲れ。」
部屋にはいると、窓際に立っている祐介が笑顔で迎えてくれた。
少しカジュアル目だったが、ブレザーにタイという姿だった。
いつもと違う少しだけ改まった格好の祐介に春奈はドキっとした。
---あぁ、祐介先生は何を着てもかっこいい…
そんなことを思っていると、ジョルジュが椅子を勧めてくれた。
春奈が席につくと祐介が「おまかせでいい?」と聞いてきたので春奈は同意した。
春奈が苦手なものと、ワインは料理に合うものを選んで欲しい旨を伝えると、ジョルジュは満面の笑みを浮かべごゆっくりと言って下がって行った。
2人きりになったところで、春奈は祐介に聞いた。
「先生はこういうところ良くくるんですか?」
「フレンチレストランって意味?レストラン自体はそれなりに行ったけど…」
---あぁ、女の人とですね。聞いた私がバカでした。
「この店は特別だから、デートに使ったのは初めて。」
祐介が照れながら言った。
春奈もつられて照れる。
「特別って?」
「ん?ナイショ。」
祐介の脳裏には若かりしジョルジュと小学生の頃の自分の姿が浮かんでいる。
『ユースケ。将来ユースケに好きナ子が出来たラ、ココに連れてキなサイ。その子がユースケのコトを好きになるよう、ワタシとシェフで魔法ヲかけてアゲます。』
「祐介先生?」
春奈の声で現実に引き戻された。
「あ、ごめん。この店は特別な人としか来ない。女性を連れてきたのは初めて。春奈も気に入ってくれると嬉しい。」
そんな祐介の話に、春奈は頬を染める。
やがて料理が運ばれてきて、2人は楽しく食事をとりはじめた。
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