妄想彼氏#09~妄想彼氏と現実デート~
「落ち着いた?」
ティッシュで遥の鼻を抑え、かませる。
遥は大人しく達也に鼻をつまませる。
「うん・・・」
「そこを出たところにトイレがあるから、顔を洗っておいで。」
そう言って自分のハンカチを遥に持たせ、背中を押す。
「うん・・・。」
その場で遥が立ち止まっているのを達也は不思議そうに見ていると、遥が振り返り、うつむいたまま口を開いた。
「達也。ありがとう。」
そう言って踵を返し、部屋を出て行った。
後に残った達也は目を丸くした後、柔らかく微笑んだ。
恵の病室へ行った後、2人は玄関に向かって歩いていた。
すれ違う医師や看護師がギョッとした顔で驚き、アタマを下げて行く。
その都度達也は手を挙げアタマを下げようとする医師達を止めている。
ーーー達也って何者なんだろう。さっきも当然のように応接室に通されたし、病室にいる看護師がワザワザ出てきてアタマを下げている。
チラチラッと何回も、隣を歩いている達也の顔を見上げる。
すると達也がクスッと笑い、妖しい目で遥を見下ろす。
「そんな何度も見ちゃうほどいい男?」
遥は真っ赤になって抗議する。
「ちょっと見ただけじゃん!」
その様子に達也はさらにクスクスと笑い、そして遥に微笑みかける。
ーーーあ。優しい笑顔・・・。
「やっと元気が出たね。お友達も浅い傷ばっかりだったみたいだし、この分だったらすぐに元気になるよ。」
そう言う達也を遥はまぶしそうにみる。
「達也。なんか、お医者さんみたい。」
その言葉に達也はハッとした後、意地悪そうな笑顔を作る。
「お医者さんごっこはするけどね、」
そう言って笑い飛ばす。
「なんか、安心したらハラが減ったな。なんか食べて行く?」
遥は目を丸くして驚く。
「いいの?妄想彼氏なのに。」
達也は少しだけ考えた後、ニコッと笑う。
「今日は特別。何が食べたい?」
「美味しいもの!」
「うーん。イマドキの高校生の美味しいものって、なんなんだ?」
遥がケラケラと笑う。
「達也、なんかおじさんくさい~。」
達也の片眉がピクリと動く。
「俺はまだ35だ。」
「私と20こも離れてる。」
「・・・。」
苦虫を潰したような顔をして黙ってしまった達也を遥はおもしろそうに覗き込む。
そんな遥を達也は目の端でおさえる。
「・・・食事、無しな。」
「えっ。達也、大人気ない!」
「俺は大人気ないおっさんだからな。」
「ウソウソっ。達也かっこいいっ。ステキ。35に見えないっ。まだまだイケる!」
「・・・なんか微妙に引っかかる言い方だけど。ま、いいか。」
「やったーっ」
そう言って達也の腕にしがみついた。
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