妄想彼氏#34～舞い上がるバカ～

「祐介先生、お久しぶりです。」

「ああ。ひさしぶり。クロは？」

春奈一人が出迎えたことに、祐介はあたりをきょろきょろと見回しながら春奈に聞いた。

「緊急オペが入ってしまって。それで私ひとりが来ました。実は病院で手の空いているもの総出で出迎えると病院長が張り切っていたのですが、丁重にお断りしました（笑）」

そういって笑うと、祐介もつられて笑う。

遥はどことなく居心地の悪さを感じに、数歩下がったところで二人のやりとりを見ていた。

そんな遥に、春奈が気がつき微笑みを浮かべながら会釈する。

遥もあわてて会釈を返した。

「初めまして。葛西 春奈といいます。」

ーーーああ、やっぱりこの人がハルナさんだった。

「こちらこそ、はじめまして。宮原 遥です。」

自分のことをなんといって紹介したら良いのかわからず、遥はとりあえず名前だけを名乗った。

そんな遥の肩をぐいっとひきよせ、祐介が笑顔を作る。

「俺の恋愛の先生、兼、彼女。」

そう言って自分を紹介する祐介を、遥は冷めた目で見上げていた。

ーーーそうか。祐介はこの人を安心させたかっただけなんだ。そのために私を連れてきたんだ。それなのに私、一人で舞い上がって。

「祐介。私が病院に行ってもしょうがないから、この辺で適当に遊んでるね。帰るときになったら携帯に連絡いれてねっ」

「え？おい、遥⁈」

手を振りながら遥は足早にその場を離れて行った。

「なんなんだ？急に。」

あっけに取られる祐介に春奈が話しかける。

「祐介先生。遥さんは、その、私の事を知っているんじゃないですか？」

「え？春奈のこと？・・・知ってるよ？何で？」

春奈が困ったようにため息をつく。

「遥さん、たぶん誤解しているとおもいます。祐介先生が遥さんを連れてきたのは、私に『自分には彼女がいるんだぞ』って言って、安心させたかっただけなんじゃないか、って。」

「はぁ⁈」

わけがわからないといった表情で春奈を見る。

「誤解ですよね？祐介先生っ。追いかけてっ」

「あっ。ああ！」

祐介は春奈に尻を叩かれるようにその場を駆け出す。

祐介は辺りを見回し、遥がベンチに座っているところを発見した。

「このバス乗るのか？」

祐介が遥にそう聞くと、遥は祐介とは逆の方向に顔を向け、指で目の辺りを拭うように動かす。
そしてコクリと頷く。

「このバス、1時間こないみたいだぞ。」

そう言って遥の横に腰を下ろす。

「ここに来るのさ、秘書にはヘリコプターでって言われてたんだ。涼介もヘリで来るって言ってたし。」

祐介が空を見ながら話し出した。

遥はそれを背中で聞いている。

「仕事は山積みだったし、あまり寝てなかったし。・・・でもさ、俺は新幹線を選んだ。なんでだと思う？」

遥は振り返り、祐介の次の言葉を待つ。

「遥とふたりっきりで、長く一緒にいたかったからだよ。」

遥は驚き、祐介を見つめた。

関連記事

• 妄想彼氏#36～特異体質×特異体質～
• 妄想彼氏#35～欲しかった言葉～
• 妄想彼氏#34～舞い上がるバカ～
• 妄想彼氏#33～重いオンナ～
• 妄想彼氏#32～恋愛って苦しい～

←お礼ページ始めました♪

FC2ブログランキングに参加しています  よかったら「つん」ってしてね♪

にほんブログ村ランキング(愛欲小説)にも参加  しています。押してもらえると小躍りします♪♪

人気ブログランキング（官能小説）に復帰でき  ました♪押してもらえると跳ねて喜びます♪♪

官能小説.comのランキングに参加してみました♪  よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪

官能文書わーるどのランキングに参加してみました♪  よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪

いつも応援してくださってありがとうございます！！みんな優しくって大好きですっ