妄想彼氏#35~欲しかった言葉~
「う・・・そ・・・。」
遥はたったひとこと。
たったひとことだけ絞り出した。
その一言に祐介がくすっと笑う。
「嘘でこんな恥ずかしいこと言うかよ。俺は、遥と一緒にいたかったんだ。」
「うそ・・・だ。」
ふるふると顔を左右に振る遥に、祐介がため息をつく。
「お前なぁ。何をどう言ったら信じてもらえるんだ?わかった。なんでも答えるから、なんでも聞け。」
祐介がおどけた様子で背筋を伸ばす。
「ハルナさんは?。ハルナさんのこと、今でも好き?」
祐介は驚いた後笑った。
「いきなり来たな。遥らしい。」
そう言って言葉を選びながらゆっくりと答える。
「正直、実際に会うまでどんな気持ちになるかわからなかった。懐かしいのか、悲しくなるのか。でも、どちらでもなかった。」
遥は黙って祐介の話の続きを待っている。
「幸せでよかった。その感情だけ、浮かんだ。」
「祐介・・・。」
祐介はくすっと笑う。
「ホントだぞ。負け惜しみとかじゃないぞ。」
「うん。うんうん。わかるよ。」
遥は小刻みに首を縦に振り、祐介に同意する。
「だから、たぶん俺の前の恋はちゃんと終わったんだと思う。ありがとな。遥。」
祐介が遥のアタマをポンポンと叩く。
「なんで?なんで私に?」
「遥がいろいろ背中を押してくれなかったら、恋愛のリハビリなんて言い出してくれなかったら、俺はたぶんここにいなかったかもしれない。いや、いつかは来たとしても、もっと時間がかかったかもしれない。」
そう言ってにっこりと微笑む。
少しだけ悲しげで、しかしとても幸せそうに笑う祐介に、遥は微笑みを返す。
「他には?」
祐介が聞くと、遥は少し考えた後、口を開く。
「祐介、私のこと子供っぽいって思ってる?」
「はぁ?」
突拍子もない質問に、祐介の目が丸くなる。
「今日大人っぽい格好してるのに褒めてくれないし、ヒールも変えられちゃったし。」
自分の足元を見ながら遥が話すと、祐介の口の端から息が漏れる。
「笑った!」
遥が口を尖らせながら祐介の腕をポンポンと叩くと、イテッといいながら祐介が身をよじる。
「俺から見たら、遥は子供だろ?」
遥はおもいっきり頬を膨らませる。
「大人っぽいのが好きとか、子供っぽいのが好きとかじゃない。」
祐介が手を伸ばし、その指先が遥の頬にやさしく触れる。
「俺は、遥が好きなんだ。」
その場が静寂に包まれる。
その静寂を打ち破ったのは祐介の言葉だった。
「遥?」
遥は祐介をまっすぐに見つめる。
「もう一回。もう一回言って?」
祐介はくすくすっと笑い、遥の頬を今度はすこし指先にチカラをいれて撫でる。
「好きだよ、遥。」
「・・・。」
「遥。好、き、だ。」
遥が祐介の胸に飛び込んだ。
祐介は遥をぎゅぅっと抱きしめた。
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