ショコラティエ#03
「おばさま・・・。このチョコレートを持ってきたっていう、おばさまの彼氏に会いたい。」
「えっ?うーん・・・・。」
おばさまは困った顔をしている。でも、私は確かめずにはいられなかった。
「由緒ちゃん、こればっかりは、ねぇ。」
「おばさまー♪お願い~っ。」
「由緒ちゃん~っ。麻由子とおなじ顔しておねだりしないでーっ。おばさん弱いのよっ。」
麻由子というのはお母さんのことだ。おばさまの弱点らしい。
「だめだめっ。こればっかりはダメよっっ」
おばさまの、けちーっ。
でも、わたしにはどうしても確かめなければならないという使命のようなものがあった。
だって、私のために作ってくれたというあのチョコレート。
それがいま目の前に、しかも大量にあるのよ?確かめないなんて、そんなことできるわけがない。
良心がすこしだけ咎めたけれど、上司にフレックスで帰るという許可を得て、会社を飛び出す。
先輩、ごめんなさい。明日仕事がんばります。だから今日は許してください~っっ。私のなかの一大事なんですっ。オアシス崩壊の危機なんですっっ。
心の中で先輩に手をあわせながら、物陰に隠れおばさまが会社から出てくるのを待った。
しかし、待てど暮らせどおばさまは出てこない。
その時地下駐車場から出てくる1台の車が目の前を通り過ぎる。
おばさまだ!!
しまった。地下駐車場から車に乗るということを想定していなかった。
私は慌ててタクシーを捕まえ、おばさまの乗る車を追ってもらう。
しかし間が開きすぎていて、私が乗ったタクシーは信号につかまり、おばさまの乗ったハイヤーは遠く見えなくなってしまった。
「その先。信号渡って適当なところで降ろしてください。」
タクシーの運転手にそうつげると、私はシートに体を預ける。
なにやってるんだろう、私。
確かめてどうする気だったの?
私は東さんの彼女でもなんでもない。ただの客だ。
しかも、上客でもない、月に1こだけチョコレートを買うだけの、ただの客だ。
仕事で疲れた顔をしていた私を元気付けるために東さんがついてくれた優しい嘘だ。
それなのに、なにを”裏切られた”とか思っているんだろう。あぁ、不毛だ。
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