淫猥病棟#51~疑惑~
廊下を早足で歩くと、本田がカップラーメンを片手に歩いていた。
本田は祐介の3年後輩にあたる。
「本田っ。緊急車両が到着するっ。II度の全身熱傷らしい。出迎えにいくぞっ。」
「えー。マジっすか?今お湯入れたばっかりっすよ。」
ふたりで搬入口へと向かう。
搬入口で車両を待つ間、本田が祐介に話しかけた。
「先輩、なんで救命にきたんすか?しかもかなりゴリ押しっていう噂を耳にしたんすけど?」
祐介は無視する。
「きたぞ。」
救急車が到着すると、救急隊員がストレッチャーをおろし共に初療室へと運ぶ。
祐介はまわりの人間に次々と指示を出す。
患者は全身が黒く炭のように黒くなっている。
「末梢ライン確保できる箇所はあるか?」
「気道熱傷の確認、急げ。」
祐介に指示され本田が気道を確認する。
「気道熱傷ありませんっ」
「よし、挿管しろっ。輸液早く開始してっ」
祐介は的確に指示を出す。
---ちぇ。俺だって救命で2年もやってるのに。あとから来たおぼっちゃま先生に顎で使われるのは面白くないな。
本田は心の中で悪態をついた。
「よう、祐介。どうだ、救命は?キツイか?」
田代が医局備え付けのサーバーから入れたコーヒーを自席にいる祐介に差し出す。
祐介は田代を見上げ、どうもと言ってコーヒーを受け取る。
「正直、驚きましたね。想像以上にキツイ。」
「ははは。おまえはまだ若いんだから体力でカバーできるだろ?俺なんかぜんぜんダメだ。」
そう言って田代は豪快に笑う。
そして真面目な顔になって、祐介に言う。
「で、そのキツイ救命に、何故来た?」
祐介はコーヒーをデスクに置き、腕を首の後ろで組み、田代を仰ぎ見る。
「ん?そこに救いたい命があるから、だろ?」
田代と祐介の視線が交差する。
一瞬の間があって田代がニヤッと笑う。
「いい面構えの医師になったな、祐介。」
田代が笑って手を差し出す。
祐介は立ち上がり、田代の手を握る。
「俺が救いたい命の中には、あんたの医師としての命も含まれてる。」
田代はゆっくりと笑みを解いていく。
そして真顔を通り越して、氷のような冷たい目になった。
---シロチョー、やっぱりそうなのか?
「疲れてんのか?祐介。おまえ、明日から第一外科に戻れ。俺が方々から文句を言われて困る。」
田代は一転、笑顔で言った。
「俺が救命にいると何か不都合でもあるのか?」
「はぁ?何言ってんだ、おまえ。顔色も悪いし、早く寝ろ。今日は助かったよ、ありがとな。」
そう言って出口へ向かった。
祐介も疲れが極限にまで達していたので、椅子にストンと座った。
田代はドアを開け、締める瞬間、後ろ向きのまま、小声で言った。
「祐介。すまなかった。もう手出しはさせないから。安心して第一外科に戻れ」
「なっ」
ドアがパタンと閉まる。
祐介は驚き立ち上がる。
しかし立ちくらみがして、立ち上がれず片膝を床についた。
「シロチョーっ。待てよっ。黒羽があんたを慕っている気持ちを裏切らないでやってくれっ。シロチョーッッ」
- 関連記事
←お礼ページ始めました♪
FC2ブログランキングに参加しています よかったら「つん」ってしてね♪ |
にほんブログ村ランキング(愛欲小説)にも参加 しています。押してもらえると小躍りします♪♪ |
人気ブログランキング(官能小説)に復帰でき ました♪押してもらえると跳ねて喜びます♪♪ |
官能小説.comのランキングに参加してみました♪ よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪ |
官能文書わーるどのランキングに参加してみました♪ よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪ |
いつも応援してくださってありがとうございます!!みんな優しくって大好きですっ
ささやかなお願い:
当ブログには「inポイントを稼ぐための騙しリンク」や「PVを稼ぐための意味の無い大量の空白行」はありません。
皆さんの愛(クリックや閲覧)だけで成り立っています。もし「しょうがねぇな、少しは応援してやるか」という気持ちになられましたら、バンバンクリックしていただけると泣いて喜びます。
当ブログには「inポイントを稼ぐための騙しリンク」や「PVを稼ぐための意味の無い大量の空白行」はありません。
皆さんの愛(クリックや閲覧)だけで成り立っています。もし「しょうがねぇな、少しは応援してやるか」という気持ちになられましたら、バンバンクリックしていただけると泣いて喜びます。