淫猥病棟#115~一生をかけて~
こんこん。
病院長室のドアが軽やかにノックされる。
「どうぞー。あいてるよ。」
病院長室の広い机には所狭しと書類が並べられている。
それらに目を通しながら、承認印を押している祐介がいた。
「何?」
書類から顔をあげた祐介が驚いて手にしていた書類を落とす。
「は・・るな・・・」
入り口に、笑顔で春奈が立っていた。
「祐介先生。」
「春奈…。」
祐介は何と声をかけて良いのかわからず、ただ春奈の名を呼んだ。
「私の執刀医だった先生は2人とも、術後一回も病室に来ないんですから。薄情ですよねぇ。」
春奈が祐介の元へ歩いていく。
祐介はそれをただ目で追っている。
「今日、退院なんですよ。知ってましたか?」
---知らないわけないじゃないか。
そう思っていると、春奈が椅子に座っている祐介の横に跪き、祐介の怪我をした方の腕をとる。
袖口のボタンを外し、白衣とともに肘の上までシャツを捲り上げる。
「傷、残っちゃいましたね…。」
そう言って指で傷跡に触れると、そのまま傷跡にキスをした。
「私の手術の後、メスを握っていないって聞きました…。」
傷口に額をつけ、春奈が喋り始めた。
「もう二ヶ月です。腕、元のように、動かないんですか?」
祐介がもう片方の手で、春奈の髪を撫でる。
「違うよ。病院長代理の仕事が忙しいだけだよ。みてよ。この書類の山っ。」
祐介が笑いながら話す。
「また、茶化して…。…うそつき。祐介先生の、嘘つき・・・。」
「春奈…。」
祐介は困った顔をして、春奈の髪を撫で続けている。
「わたしが、一生をかけて、先生の腕のリハビリに付き合いますから。」
春奈が顔をあげる。
「私を、そばに置いてください。」
「春奈・・・。」
祐介は春奈を抱きしめた。
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