淫靡な研究室２#13～負けない想い～

　
　
病院の個室で、涼介は静かに眠っている。

するとドアがノックされ、男性が入ってきた。スラリと背が高く、その端正な顔立ちは何処と無く涼介に似ている。歳は60ぐらいだろうか。しかし力強い眼差しは年齢を感じさせなかった。

弥生は初めて見るこの男性に、席を立って頭を下げる。

「あ、そのままで。立花弥生さん、ですね？」


いきなり名前を呼ばれ驚くも、男性の持っている穏やかな雰囲気に危険は感じなかった。

「佐伯祐一郎と申します。そこの、涼介の父です。」

弥生は驚いて再び頭を下げた。

「りょ、涼介さんには、いつもお世話になってますっ。」

祐一郎はフッと笑う。

「逆でしょう？」

そう言うと、弥生に向かって深々と頭を下げた。

「あなたには感謝してもしきれない。涼介を救ってくれてありがとう。」

ゆっくりと頭を上げると微笑みながら弥生に向かって言った。

「あなたとは一度お話をしてみたかった。幸い涼介も落ち着いているようだし、お茶でもいかがですか？」



応接室で事務員が淹れたコーヒーを2人で飲んでいる。

祐一郎はカップを皿の上に置くと、笑いながら弥生に話しかけた。

「涼介はよほどあなたのことを早く思い出したいとみえる。」

そう言ってフッと笑う。

弥生は逆に恐縮し、縮こまる。

「担当の先生に伺いました。色々なことをいっぺんに思い出そうとして、脳がオーバーヒートしたって。すみません。私も早く思い出して欲しくって、無理をさせてしまいました。」

そう言って頭を下げる。

祐一郎はまあまあと手を前に出し弥生の姿勢を正させると、話を続けた。

「しかし、記憶を取り戻すきっかけを得たわけだ。」

そう言って優しげな微笑みをたたえ、弥生を見る。

「涼介はあなたに助けられてばかりだな。」

そう言ってコーヒーを一口飲むと、弥生に尋ねた。

「弥生さんは、涼介の事を本当に愛してくれているのですね。ありがとう。」

祐一郎の言葉に弥生は赤面しながらも答える。

「はい。涼介さんが望んでくださるのでしたら、私はずっとそばにいたいです。」

力強くそう言った後、さらに顔が赤くなり、両方の手のひらで押さえる。

その様子を微笑ましく見ていた祐一郎が、急に真顔になる。

「弥生さんは涼介の、いや、佐伯家の呪われた宿命を知って尚、涼介と添い遂げたいと思うのは何故ですか？他の男性となら幸せになれるでしょうに、自ら不幸になることを望むなんて…。あなたの子供か孫が同じ不幸を背負うというのに、それでもあなたは涼介と共に生きてくれるというのですか？」

弥生は驚いた後、にっこりとほほえむ。

「お父様は涼介さんという息子さんがいらして、不幸せでしたか？」

祐一郎はゆっくりと首を横に降る。

それを見て弥生はさらに微笑む。

「以前、涼介さんも幸せだと言ってくれました。お父様も涼介さんも幸せなのに、なぜ私と涼介さんの子供や孫が不幸になると思われるのですか？」

祐一郎は驚いて弥生を見る。

「私は幸せです。生まれてくる子供や孫も、絶対幸せです。運命？宿命？そんなのには負けません。」

祐一郎の目を見て、弥生は力強くそう言った。

関連記事

• 淫靡な研究室２#15～集結～
• 淫靡な研究室２#14～逃げない心～
• 淫靡な研究室２#13～負けない想い～
• 淫靡な研究室２#12～再現「バーチャル痴漢」～
• 淫靡な研究室２#11～再現「淫靡な研究」～

←お礼ページ始めました♪

FC2ブログランキングに参加しています  よかったら「つん」ってしてね♪

にほんブログ村ランキング(愛欲小説)にも参加  しています。押してもらえると小躍りします♪♪

人気ブログランキング（官能小説）に復帰でき  ました♪押してもらえると跳ねて喜びます♪♪

官能小説.comのランキングに参加してみました♪  よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪

官能文書わーるどのランキングに参加してみました♪  よかったらこちらもクリックしてみてください♪♪

いつも応援してくださってありがとうございます！！みんな優しくって大好きですっ