淫靡な研究室2#16~仮説~
「結局のところ、佐伯くんのカラダのことは、医者よりも私たちが一番知っていると思うのよ。」
その麗香のセリフに、弥生は赤くなる。
「麗香さん、そこだけ聞いたら、なんか、えっちです…。」
そんな反応に麗香と健一は笑う。涼介は話が飲み込めず、黙って成り行きを見守っている。
「私達は毎日佐伯くんの血液をサンプリングしてきた。そこでね、わかってるのは佐伯くんはストレスが溜まると、例の成分が濃くなるのよ。」
弥生は目を丸くした。
「そうなんですか?!」
「たぶん、逆境でより効果が出るように遺伝子がそうさせているのかもね。・・・って、健一が。」
うん、と、健一は大きく頷く。
「俺はあるひとつの仮説を立てた。それを立証したいから、あんたの血液を採取させてくれないか?」
そう言って涼介を見る。
涼介は黙って頷く。
健一も軽く頷くと、すっくと立ち上がった。
「じゃあ、始めるか。麗香、手伝って。」
健一は涼介から採取した血液を、分析していた。
その表情は少し浮かない。
「健一?」
麗香は機材を片付けながら健一に声をかける。
「なぁ、麗香。」
「うん。なぁに?」
「いや…。なんでもない。」
そう言って作業に戻ろうと視線を手元に落とした健一の背中に麗香が頬を当てるように寄りかかる。
麗香の無言の労わりに、健一は口を開く。
「佐伯センセさ。記憶が戻らない方が、いいんじゃないのかって考えちゃってさ…。」
「健一…。」
「たぶんさ、忘れたい過去の方が多いんじゃないのかって、そう思ったら、なんかいたたまれなくなってきちゃってさ。」
「健一…」
麗香は背中から胸に回している手を上へと移動させると、そのまま健一の両頬をつまんで横に思いっきりひっぱった。
「いてぇっ。なにすんだよっ。」
健一は赤くなった両頬をさすりながら麗香のほうに振り向く。
「確かにね、佐伯くんにはツライ思い出が多いかもしれないけどっ。でもね、弥生のことまで忘れちゃいけないのっ。二人で乗り越えてきた過去じゃないの。それを、忘れたままの方がいいなんてっ。なんてことを言うの?!」
弥生の事を思ってか、目を潤ませながら抗議する麗香を健一はぎゅっと抱きしめた。
「ごめん。」
「本当よっ!」
「ごめん。」
「・・・佐伯くんの記憶を取り戻してくれたら、許してあげる。」
麗香を抱いている手をほどき、麗香の腕を掴みながら体を離す。
麗香の顔はニコッと笑っている。
「うちの奥さんは亭主を操るのがうまいな。」
麗香はニコニコして健一を見ている。
「はいはい。最大限努力しますよ。」
そう言って麗香に背中を向け、分析作業に戻る。
麗香はその背中に手のひらをあて、頬をつける。
そんな麗香を健一はチラッとみると、うっすらと優しげな笑みを浮かべ、作業に戻った。
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