淫靡な研究室2#17~不恰好なジャック~
一方、何もすることがない涼介と弥生は、庭でカボチャをくり抜いていた。
「結構、大変ですね…。」
額の汗を拭いながら、涼介がふぅと大きく息を吐く。
「でも、だいぶできてきましたね。これなら夜に間に合いそうです。」
弥生は笑いながらそう言った。
今日はハロウィン。病院からヘリポートまでの移動中の車内から街中のディスプレイを見て、今日がハロウィン当日であることに気がついた。
そして別荘につき、別荘の管理人がハロウィンのディスプレイをしているのを見て、カボチャを二つわけてもらった。
いま、2人でそれを掘っている。
「立花さんのジャックは随分と可愛らしい顔をしていますね。」
そう言って涼介が笑う。
その様子を見て、弥生も笑う。
「涼介さんは、なんていうか、ダイナミックですね。」
不恰好に削られたカボチャを見て弥生は笑いながら言った。
「いいですよ。ストレートに下手くそだと言っていただいても。」
涼介が拗ねたように口を尖らせながら言うと、その様子もおかしいと言ったように弥生が笑う。
「もういいです。完成です。」
そう言って涼介は道具を机の上に置いた。
片付けをして別荘の中に戻ると、麗香が弥生を手招きしている。
「佐伯くん、弥生を借りていいかしら?」
涼介は柔らかく微笑みながら頷いた。
そうか。佐伯くんはもともとこういう笑みを浮かべる人だったのか。確かに健一の言うこともわかるような気がする…。でも、無くなっていい記憶なんて、あるはずがない。それが愛する人と過ごした時間ならなおさら。
弥生は麗香の後をついて行くと、別荘内の一室に通された。
そこには健一が座っていた。
「かけて。弥生ちゃん。」
何処と無く雰囲気が違う健一の様子に戸惑いながらも、勧められた椅子に腰掛ける。
「仮説が立証されたんだ。」
重々しく口を開く健一とは対照的に、弥生はパァっと顔を明るくし、前のめりになって健一に尋ねる。
「本当ですか?涼介さん、治るんですか?!」
そう言ってから健一の顔色がひどく沈んでいることに気がついた。
「谷田部さん?」
健一は大きく息を吐いたあと、弥生に向かって口を開いた。
「弥生ちゃん。よく聞いて欲しい。」
健一の雰囲気に押され、弥生はごくっと生唾を飲み込んだ。
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