妄想彼氏#38~いいから行って!~
その時、にわかに廊下が騒がしくなった。
春奈が廊下に顔を出し、ちょうど通りかかった看護師を捕まえる。
「黒羽先生の前立ちの先生が倒れられて。他の先生がどなたも捕まらなくってっっ。」
祐介の顔色が変わる。
「クロは何のオペをしてるんだ?」
「弓部大動脈瘤ですっ。」
「なっ。それをひとりでやってるのか?ステント?」
「当初はその予定だったんですが、急変されてっ。人工血管置換になりましたっ。」
祐介はその看護師の元に歩み寄り、詳細を聞いている。
「早く代わりの先生を見つけて。それまでは俺が第一助手につく。この手術は時間との勝負だっ。春奈っ。案内してっ。」
「はいっ。」
心配そうに祐介をみる遥と目が合う。
「遥、ごめ・・・」
「いいから!行って、祐介っ!」
祐介の言葉を遮るように遥が言うと、祐介は大きく頷いた。
手術室へと足早に向かいながら、春奈は祐介の左腕を見る。
その視線に気がつき、祐介は左手をあげて拳を握る。
「ちょっとリハビリさぼっちゃってね。最近再開したんだけど、まだまだなんだ。だからあくまで代わりの医師が来るまでの、場つなぎ。」
「祐介先生・・・」
「そんな顔するなよ。こんな俺でもいるのといないとのじゃ、心の余裕が違うだろ?」
術衣に袖を通し、手を消毒する。
ひさびさの消毒液の匂い。
肘の上まで丹念に洗う。ふと肘の少し下にある傷跡が目に入る。
祐介は小さく頷くと、全てを洗い流し手術室へと入った。
黒羽は術野に集中していた。
「前立ちします。」
祐介がそう声をかけたが、黒羽はちいさくよろしくと言って顔を上げなかった。
黒羽は集中していた。
人工心肺に切り替えてからかなりの時間が経過していた。
予定外の緊急手術になり、第一助手が緊張に耐えきれず倒れた。しばらく孤軍奮闘の状態で置換手術を行っていたが限度があった。
まず第一助手がいないため、術野が満足に確保できなかった。術野に盲点ができる。なんと恐ろしいことか。
その時目の前に立った人間が、すんなりと術野を確保した。
ありがたいと思った。
そして黒羽の一歩二歩先を読むように、手を動かす。
まるでその動きに引っ張られるように、黒羽の手も動き出し、徐々にそのスピードが増していった。
追記
一部記事を訂正しました。記事をアップする直前に直したところが前後の文章とあっていなかったためです。申し訳ありません。
元の記事はこちら。
赤線の部分が変更したところです~。
血管を人工のものに変えるよって言ってるのに、そのあとに「ステントか?」って、明らかにおかしい。
まぬけですみませんでしたー
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